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第3回「映画監督 松本卓也さん」Vol.2 “映画監督ってオイシイ!?”

本日、1126日(土)に新作映画『花子の日記』が公開となった

映画監督・松本卓也さんが、第3回のゲストとして登場!

映画について、監督稼業について、根掘り葉掘り聞いちゃいました。


――公開初日を迎える気分はいかがですか?

「ソワソワしてます。作品はもうできあがっていて今さら手直しできないし、正直、もうできることがほとんどない状態なんで、落ち着かないんです(笑)」

――まな板の上の鯉って心境ですね。

「これが舞台なら、お客さんの反応を見て、明日以降に変更もできるとけど、映画はそれができないので、ここからはひたすら受身です」

――でも、舞台挨拶とかはされるんですよね?

「そこが唯一の働きどころですね(笑)。とりあえず、そこでガーッと盛り上げようとは思っていますけど」

――あ、ハードルあげちゃいましたね。

「あげちゃいました(笑)。でもそこは、お笑い畑出身の血が騒ぐわけですよ」

――その経歴、後でじ~っくりと聞かせてください。

「いつでもどうぞ」

――その前に、もうちょっと『花子の日記』のお話を。

「望むところです!」

――今回のキャストの方々というのは、松本監督自身でお選びになったんですか?

「いや、今回はキャスティングの方に入っていただきました」

――脚本も手がける松本監督としては、キャストにもいろいろイメージや思い入れがあったのでは、と思うんですが。

「そうですね。基本は僕、宛書きをするタイプなんですよ。でも、今回は脚本が先にあったので。キャストの方が決まってから少し細かな部分の書き直しはしました」

――今回は、韓国人俳優さんもキャスティングされていますよね。その点で難しさはなかったですか?

「セイシをかけた戦いのメインとなる韓国人の父親役を、金守珍さんに演っていただいたんですが、この方、アングラ演劇界の重鎮と言われるようなスゴイ方で」

――気を遣いますね。

「いや、むしろ一番僕の描きたいことを理解していただけましたよ。つくづく、プロであればあるほど、こちらのいろんなモノを引き出してくれるんだなぁと実感しました」

――職人って感じですね。

「まさに。監督が未熟ですから、キャストの方やスタッフには本当に助けられました。感謝です」

――みんなで作り上げるという感じがしますね。

「そうだと思います。映画は言ってみれば団体競技みたいなもので、たくさんの人の手を借りないとできないんです。まして、監督はダメ人間が多いし」

――あ、そこ言い切っちゃいますか(笑)。

「もちろん、立派な方もいらっしゃるでしょうけど、少なくとも僕は、いや、僕の周りはそうですね(笑)。いい加減で危ういのが監督」

――とはいえ、その映画のトップなわけじゃないですか。

「でも実際は、撮影するのはカメラマンだし、演技するのは役者さんだし、照明にしたって、録音や編集にしたって、その道のプロがちゃんといるわけですよ」

――たしかにそうですね。

「じゃあ、監督っていうのは何をする人かと言ったら…実はほとんどなにもしてない(笑)」

――でも、できあがった映画は監督の作品になるわけですよね。

「そういう意味ではオイシイとこ取りです。その分、映画の責任をすべて負うのが監督なのかなと」

――いわゆる、興行成績とかですか?

「それもありますけど、作品の完成度に関して、ですね。作品に対する評価は、いいも悪いも、全部、監督の責任かなと。たとえば、役者の演技に対してネガティブな評価があったとしても、それは、その演技にOKを出した監督の責任だろうと思うわけですよ」

――なるほど。作品の責任を一身に負う立場として、『花子の日記』がどんな評価を受けるのか、楽しみですね。

「いや、楽しくはないです(笑)。必死です」

――自信のほどはいかがですか?

「自信は持たないとダメですよ。いつでも最新作が僕のベストムービーなので!」

――頼もしいお言葉をいただいたところで、予告編をどうぞ!


つづく


 松本卓也(まつもと・たくや)

映画監督。10代の頃からお笑いコンビで活動。10年続いたコンビが突然解消となり、途方に暮れる。その後、独学で映画制作の道へ。これまでに手がけた長編、短編が国内外の30を超える映画祭で入賞・受賞するなど、注目を集めている。「ノーマネー、ノー真似」でオリジナリティある作品を創作する映像ゲリラ集団「シネマ健康会」の代表も務める。

●映画『花子の日記』公式HP http://hanakononikki.com/

●シネマ健康会 http://www.cineken.com/