ことばや










   いとうかよこ原作脚本作品
  朗読劇『私の知らない、私の事情』
  加護亜依主演、金田賢一語り 特別公演
  ⚫日にち/10月6日(土)、7日(日)
  ⚫会場/グロッタ・デ・アモーレ            
  ⚫料金/4,500円
  ※チケット予約はこちらから → #私の事情

 



 


いとうかよこ脚本作品 
朗読劇<銀河鉄道の夜~純愛シリーズ>第2弾 
『愛を教えて、と彼女は言った。願い事は星の彼方に』 

⚫日にち/8月24日(金)~26日(日) 
⚫会場/赤坂CHANCEシアター    
⚫料金/3,500円(ワンドリンク付き)  
※チケット予約はこちらから → #銀河星の彼方に
 

銀河鉄道の夜~純愛シリーズ オーディオドラマ版、好評リリース中!
彼女は星を見上げ、ここにいない彼を想う                私たちは、夜空に瞬く夏のトライアングル 
「彼女は星を見上げ、ここにいない彼を想う」            「私たちは、夜空に瞬く夏のトライアングル」


          
「愛を教えて、と彼女は言った。願い事は星の彼方に」    「星をめぐり、彼女はもう一度、彼に恋をする」     

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ドア

足元がふわふわと、何だか頼りない。
こんなに酔っ払ったのはいつ以来だろう。
正体をなくすなんて大人の飲み方じゃない、とか
いつからそんな、分別臭いことを言うようになったのか。
ほろ酔いの頭で改めて考えてみる。

あぁ、きっとそれはあの日からだ。
寄りかかれるあたたかい存在を失った、あの日。

分別がいいのは、大人だからじゃなく、ひとりだから。
そんなことに気づいてしまった自分に苦笑いする。
ひとりで生きるって、もっと自由なもんだと思っていた。
けれど、案外ムチャができないもの、か。
今だって、酔っ払っている自覚があるなら、
おそらくそんなに酔ってないのだろう。
そのことが、なんだかすごく悔しい気がしてきた。

駅に向かう道を左に逸れ、
賑やかな繁華街へと目的地を変更する。
チェーンの居酒屋じゃムードにかける。
かと言って、このあたりに馴染みの店はない。
さて、どうしたものかとゆるゆる歩いていると、
「入っておいで」
と手招きしている、ようなドアがあった。

ごく自然にそのドアを開け、
吸い込まれるように階段を降りていく。
まるでそこがいつものお決まりの席のように、
カウンターの隅へと腰をおろすと、
不思議と気持ちが落ち着いて、ホッとしている自分がいた。

その夜は、いったいどれほど飲んだのだろう。
とても心地よく、楽しい気分だったことは覚えている。
なのに、それ以外はキレイさっぱり記憶から消えている。
あの店の場所すら、いや、そんな店が本当にあったのかも
今となってはよくわからない。

けれど、その店を探してみようとは思わない。
また、どうしようもなく飲みたくなった時に
ひょっこりと、目の前にあのドアが現れるはずだから。
分別ない大人にしてくれる、あの空間へと続くドアが。

朗読/蒔苗勇亮
ストーリー/いとうかよこ
at 2018/07/12 11:26:23