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「私の知らない、私の事情」第21回


「あのね、秋生…私ね、」

 

 すべてを話し終わると、秋生は大きくため息をついた。

「伝えたいことって…告白でもする気?」

「えっ?」

「好きなんでしょ? そのくらい、果南を見てればわかるわよ」

 えーっ! 何それ、私の気持ちってバレバレだったの? 秋生に? それともサークルのメンバー全員に? まさか、秀一にも?

「何、赤くなったり、青くなったりしてるのよ。大丈夫よ、みんなが知ってるわけじゃないから。気づいてたのは私くらいなもんだし。それに、当の本人はさっぱり気づいてないみたいだったしね」

 ま、まあ、秋生だけならいいか。うん、ぎりぎりセーフってことにしておこう。でも、まさか自分の気持ちがダダ漏れていたなんて、恥ずかしいにも程があるわ。

「で、告白するわけ?」

「ま、ま、まさかっ!」

「じゃあ、何を伝えるつもりなの?」

 秋生の瞳が、ちょっと悲しげに私を見つめている。

「それが…自分でもよくわからないの」

「何それ?」

「伝えなきゃいけないって気持ちは強くあるんだけど、なにを伝えたらいいのかがわからなくて。でもね、きっと私には言わなきゃいけない言葉があるはずなの」

「伝えなきゃいけない言葉、か」

 秋生が私と一緒に考えこむように眉を寄せる。そうして少しの間、私達は黙ったまま佇んでいた。

「果南」

 名前を呼ばれて、顔を上げる。真剣な眼差しが私をまっすぐに見つめていた。

「私の身体、貸してあげる」

「え、いいの? そんな簡単に」

「まあ、果南にはいろいろ借りもあるしね」

「借り?」

「果南が初めてだったからさ。私に気負いなく話しかけてくれたの」

「そうだっけ?」

 秋生はにっこりと笑って頷いた。

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「私の知らない、私の事情」第21回

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