今夜出逢ったばかりの恋人。
でも、明日の朝にはさようなら。
とても短くて、とても情熱的な恋。
そんなの、どこにでもある話だ。
目が合って、ちょっと笑って、一度そらして。
その後で、もう一度視線を交わしたら、
もう、恋は始まっている。
言葉なんていらない。
だって気づけば、指と指を絡めているんだから。
暗黙の了解、以心伝心。
指先からほら、互いの気持ちは通じ合っている。
あとは、情熱のおもむくまま。
名前も知らない恋人と、
熱を分け合い、欲に溺れ、
めくるめく時間は過ぎていく。
朝まで愛し合った僕たちは、つかの間まどろみ、
やがて、まばゆい陽射しの中、
「おはよう」のキスをする前に気づく。
「あぁ、この人ではなかった」と。
唯一を探し求める僕は、
苦笑いとともに
ありきたりの一夜に別れを告げる。
とても楽しかったよ。愛しい人。
もう二度と、逢うことはないけれど。
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