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バカバカしい話

惚れたら負けだ、と誰かが言ってた。

だからオレは、この気持ちを口にしたりしない。

もちろん、顔にも出さない。

さとられないよう、気づかれないよう、

こっそりとアイツを見つめている。

 

バレてるけどね、その気持ち。

周囲の生暖かい視線に気づいてないのはキミだよ。

でもまあ、

肝心の“アイツ”とやらはわかってないみたいだから

いいんじゃない?

 

友だちから恋人になるには、

どうやってその境界線を踏み越えればいいの?

私はずっと考えている。

「好き」と言ってしまえば簡単なこと?

それができないから、できるはずがないから、

せめて視線を送る。気づいてって願いを込めて。

 

大丈夫。十分に伝わってるよ。

もっとも、彼以外には、だけどね。

ジレジレしているのは周囲ばかり。

肝心のふたりは、

足踏みばかりしてるんだから、困ったもんだよ。

 

恋するふたりにとっては、切ない想いに胸を痛める日々でも、

周囲にとっては、バカバカしい話でしかない。

 

いい加減、気づけよ。

お互いの視線の先に、誰がいるかってことを。

ふたり以外はとっくに知っている事実ってやつにね。