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「愛するキミに~Gee, baby~」

彼はひざまずいて愛を乞う。

手には大きなバラの花束。
ここで、頬を染めて恥ずかしげに笑って見せれば
きっと可愛いオンナなのだろう。

けれど、私はそっけない態度を返す。
戸惑っているわけではない。
どうにも退屈で、なんとも面倒くさくて。
思わず、
ため息をつきそうになるのを隠しもせず、
彼を見おろした。

それでも彼の表情が曇ることはない。
「愛するキミに」と
瞳に熱を宿しながら、美しく微笑むのだ。

誕生日には、贅沢すぎるひとときを。
クリスマスには、完璧なエスコートを。
なんでもない日にも、高価なプレゼントを。

彼の示す愛情は、どれもこれも私の心に響かない。
「愛するキミに」という言葉は、
いつでも私の心を素通りして消えていくだけ。
そんな私のことを、
世間は「冷たいオンナ」と言うけれど、
大きなお世話と言うしかない。

だって、私がほしいものを、
彼は決して私にくれない。
ハリボテの「真実の愛」なんてほしくない。

私が本当にほしいものを、もし彼がくれるなら、
その時はきっと…。
けれど今はまだ、私の心は渡さない。