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しっかりと歌を届ける。本来の歌合戦に立ち返った紅白

テレビ『第71回NHK紅白歌合戦』


年も明けて約1週間。
今更ながら、紅白の話をしようと思います。

私が子どもの頃、
大晦日と言えば、レコード大賞と紅白でした。
意外性のかけらもない平凡な家庭です(笑)。

あの頃、歌というのはお茶の間にありました。

テレビから流れてくる歌謡曲を
家族みんなで見て、聴いて、一緒に歌って。
だから、当時のヒット曲は
それが演歌だろうと、アイドルポップだろうと
ニューミュージックと言われたジャンルだろうと、
大人から子どもまで知っていたし、
歌えたものです。

子どもが意味もわからず、
セクシーなムード歌謡や
不倫がテーマの演歌などを歌って
親たちに苦笑いをされるのもよくある話。

そんな時代だったからこそ、
ヒット曲を一同に集めた紅白は
家族みんなで楽しめるお祭りだったわけです。

時代とともに紅白が低迷し、
人気を取り戻そうと迷走するようになり、
「国民的番組」という看板が
そろそろしんどくなってきた紅白ですが、
昨年末の紅白は、ひと味違いました。

 

コロナ禍ということで
初めて無観客で行われた紅白歌合戦。
盛り上がりに欠けるのでは
という事前の予想を裏切り、
個人的には、非常に盛り上がりました!

まず、過剰な演出が排除されたこと。
歌の邪魔にしかならない演出や、
無理矢理すぎるコラボなどがほぼなくなって
じっくりと歌を聴くことができました。

一人ひとりの歌い手が
一年間の総決算として、
厳選した一曲を魂を込めて歌う。

そんな本来の紅白の姿が戻ってきたなぁと。
イマドキの歌に疎い私としては、
知らない曲もいくつかありましたが、
それらも楽しんで聴けましたよ。

歌をまっすぐに届けると、
自然と耳に、心に、入ってくるものなんですねぇ。

そういう意味では、
三山ひろしさんのけん玉チャレンジは…。
ぜんぜん、三山さんの歌が入ってこなくて
何を歌っていたのか記憶にありません(笑)。
ご本人が納得されているなら問題ないですが、
他のアーチストがしっかり歌を届ける中、
ちょっとお気の毒だったなぁと
個人的には思いました。

 

もう一つ、
今回の紅白が良かったと思う要因は、
司会の3人です。

正直、大泉洋さんの司会抜擢を聞いたときは
「大丈夫なの?」
と思いました。失礼ながら(笑)。

けれど、無観客だからこそ、
盛り上げ役としての大泉さんが威力を発揮。
総合司会の内村光良さんとの相性も良く、
観客のいない寂しさを感じさせない
賑やかさがありました。

それにも増して良かったのが
紅組司会の二階堂ふみさん!!

内村さん、大泉さんと
ともすれば暴走しかねない年上のふたりを
しっかりコントロール。
ときに悪ふざけをぶった切り、
冷静に司会進行をする姿の頼もしいこと。

だからといって、決して冷たい印象はなく
ときには歌に感動して涙ぐんだり、
それぞれのアーチストや歌に対しての
リスペクトを感じました。

そんな彼女がいたから、
内村さんや大泉さんも安心して脱線できる
って見えるほどの安定感。
素晴らしすぎる。

服装も、華美なドレスではなく
パンツスタイルだったり、
全体的にスッキリとまとめたのも好印象。
あくまで、司会は脇役で
主役はアーチストたちなんだという
あたりまえのことを思い出させてくれました。

ディスニーとのコラボ企画で
披露した歌も良かったなぁ。
まあ、司会者としては「余計な演出」
と言えるのかもしれないけれど、
それを言うのは野暮ってもんでしょう。

そういえば、
NHKって商業絡みはご法度でしたよね?
思いっきり、
ディズニーランドをPRしちゃってましたけど、
これってあり?(笑)

瑛人さんの『香水』もそのまま歌ったし。
ドルチェ&ガッバーナばかり注目されてたけど
LINEもなにげに商標だし。

まあ、時代にそぐわないルールは
変わっていくってことなんですかね。

 

そんなこんなで、
昨年末は、最初から最後まで
しっかり紅白を堪能した我が家。
こんな風に、歌をまっすぐに届けてくれるなら
今年の年末も楽しみです。