あなたの、適当な言い訳がキライだった。
ウソがバレない努力も、ごまかす工夫も、
隠し通す覚悟もまるでなくて。
その場だけ凌ごうとするセコイやり方。
だから、キライ。
あなたの、曖昧な笑い方がキライだった。
困ったような、こちらを窺うような、
何か言いたげな、なのに、結局何も言わない。
すべてを私に言わせようとするズルいやり方。
だから、キライ。
キライなところを並べて、積み上げて、
私の中で静かにしぼんでいった恋。
私からサヨナラを告げて、
幕を下ろしたはずの恋…なのに。
今の彼とは違う、
あなたのそっけない言葉を思い出す。
甘い言葉なんてちっともくれないくせに、
私が一番ほしい言葉を、
一番必要なときにくれたあなたを。
今の私とは違う、
あなたの前で素顔のままだった自分を思い出す。
遠慮なくケンカして、大きな声で笑って、
弱さも情けなさも、
全部さらけ出していた私を。
どうしてだろう。
あなたのスキなところばかりが浮かんでくる。
どうしてだろう。
あなたのキライなところまで愛おしく思えてくる。
どうにもならない喪失感を
私は三日月のせいにして、目を閉じた。
失くしたものを数えないように。
これ以上、あなたのスキなところを
思い出さないように。
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