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ベテラン女子のユウウツ

お風呂あがり、
鏡の前で自分の身体をしげしげと眺めてみる。

「まだイケる…かなぁ」

全体的にボディラインが
ふっくらと丸みを帯びてきたことは否めない。
これを年齢における避けられない事態、と諦めるべきか。
絶対的な努力不足、と自らを戒めるべきか。
それが問題だ。

今夜もくだらない自問自答を繰り返す。
実は最近、ずっとこの調子だ。
その原因は、認めたくはないが、彼女に違いない。

彼女は、今年配属されてきた新入社員だ。
ひとまわり以上も年の離れた彼女を相手に、
張り合おうなんてムチャはしない。
大人だもの。
けれど、なんとなく敗北感が漂うのはなぜだろう。

「先輩みたいな大人の女性って憧れちゃいます」

そんな無邪気なひとことすら、
嫌味に聞こえてくるんだから、私、相当ヤバイかも。
このままじゃお局街道まっしぐらだ。

小さなくしゃみで、ハッと我に返る。
さっきまでポカポカだった身体は、
すっかり湯冷めをしてしまっている。
いかん、いかん。
風邪なんてひいたらシャレにならない。
もう一度、バスルームへUターンだ。

熱ーいシャワーで、
頭の中の雑念をキレイさっぱり洗い流したら、
ぐっすりと寝て、すっきりと起きよう。
そして明日も、元気に明るく、テキパキと
ベテラン女子は頑張るのだ。
 


朗読/菅彩乃